Rosebank Law
議論に負けない秘訣とは 西村純一氏
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それに対して、Bは『自分には責任はないけれど、4,000ドル払いましょう』と言って裁判所に4,000ドル差し出します。しかし、Aは『否、10,000ドルだ』と突っぱねて、その提案を拒絶。そうなると、4,000ドルは一旦戻され、裁判になります。そして、仮に裁判官から『BはAに3,500ドル払いなさい』という最終判決が出たとします。」
―――500ドル少ない金額になってしまった?
「そう。最初Bから4,000ドルの提案があったのに、裁判をやってみたら、裁判官は3,500ドルという結論を出したわけです。しかし、Aが最初にBの申し出を受けていれば、裁判をやらなくて済んだ。つまり、不必要な裁判を起したということで、Aにとって痛いのは、裁判にかかったA自身の費用はもちろん、裁判に引きずり込んでしまったBの費用も、Aが負担しなければならないんです。これが、基本的なCalderbank Offer。オファーは『提案』ですね。」
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―――AはBから提案された4,000ドルを受け入れていたほうがずっと良かったということになりますね?
「その選択がむずかしいんですね。というのも、裁判官はAの主張する額を全額認めてくれるかも知れないし、逆に1セントも支払う必要なしという結論を出す場合もある。Bの提案を受け入れたほうが得か、裁判に持ち込むべきか、Aはその決断を迫られることになりますね。」
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―――なるほど……
「私がこのCalderbank Offerで理解出来なかったのは、『Bは自らAに4,000ドル支払う提案をしているにも関わらず、訴えられたことについての法的責任は認めなくて良い』としている点なんです。本当に責任がないのであれば、なぜ自分から4,000ドルを裁判所に差し出したのか? 事実関係は分かっても、どうしてもこの論理が理解出来なかったんです。でも、このCalderbank Offerを『責任の所在云々』で見ると、理解に苦しむんですが、改めて考えてみれば、ニュージーランド人は揉め事を解決するために、何とも合理的な手段を採用しているものだと感心もし、納得も出来るんです。時間も費用も無駄にせず、ドロドロした裁判を回避することが出来ますからね。」
―――ということは、ニュージーランドの裁判では、基本判例があって、それに訴訟内容をあてはめて判決を下すのでしょうか?
「そういう場合が多いですね。この国はイギリスのCommon Law(コモンロー)を継承していますから、非常に判例を重んじる国なんです。」
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「また、この国にもFamily Law(家庭法)というのがありますが、例えば、子供の親権を争う場合、ニュージーランドでは『子供にとって何が一番良いか』に重きを置いているので、子供が意思表示出来ない年齢であれば、裁判所が指名した弁護士が子供につくんです。1ヶ月の赤ちゃんでもそうです。親の都合だけではいかないんですね。」
―――よく考慮された制度ですね。幼い子供はもちろん、何か事が起こった時に、大人でも正しく状況を把握し理解することは大変だと思うのですが……?
「そうですね。だから、我々弁護士がいるんですが(笑)。でも、弁護士はあくまでも法的なアドバイスをするだけ。『○○や○○のような選択肢がありますよ』と助言し、影響を与えることは出来ますが、最後に決断を下すのはご本人なんで� ��。つまり、正しい判断を下すためには、ご本人もケースに対して十分な理解を持つことがとても大切なんです。」
―――おっしゃる通りですね!
「同じようなことで、よく日本人の中には『すべて弁護士さんに任せていますから』とおっしゃる方がいますが、これは間違いですね。主体はご本人です。また、私が弁護士になってから、何人かの日本人の方が、英語で書かれた自分自身の遺書を持って訪ねて来られ、『何て書いてあるか教えて欲しい』って言うんですね。ご自分がご自分の意思で決めて、文書にした遺書であるはずなのに、その中身を把握出来ていない。これは英語の問題だけではないんです。『日本人がどういう風に考えて、遺書を遺そうとしているのか』が理解されないと、その日本人が本当に意図するところの内容が正しく遺書に反映されなくなってしまうんで す。いわゆるニュージーランド人の理解に基づく『遺書』が出来上がってしまうため、内容に不安を抱いてしまうんですね。」
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